お知らせ

2025/05/13

住宅リフォームで足場が必要な理由とは?工法の選び方と信頼できる施工管理のポイント

住宅リフォームでは、安全かつ効率的な作業をおこなうために足場の設置が欠かせません。
作業者の安全確保や法令順守の観点からも足場の重要性が高まります。

本記事では、工事別に足場が求められる理由とその必要性について紹介します。


本記事では、元請のハウスメーカーや建設会社(工務店)、リフォーム専門会社が押さえておくべき住宅足場の基本から、最新の工法、課題への対応まで網羅的に解説します。

足場に関する誤解を解き、現場の信頼性向上につながる視点を提供します。

一般社団法人 低層足場リース協会

住宅リフォームにおいて足場が必要となる代表的な工事

低層住宅において、作業者の安全確保や法令順守の観点からも足場は重要です。

  • 外壁塗装・外壁材の張り替えに伴う足場の必要性
  • 屋根補修における足場確保の重要性
  • 雨どい・軒先補修など高所作業時の足場設置ポイント
  • 太陽光パネル・設備設置工事における足場設計の注意点

外壁塗装・外壁材の張り替えに伴う足場の必要性

外壁リフォームでは、塗装や張り替え作業を正確におこなうために、広範囲かつ安定した作業スペースが求められます。

足場を設置することで、高所作業時の安全性が向上するだけでなく、職人が効率よく作業できるため、仕上がりの品質にも直結します。
作業中の塗料や工具の落下を防ぐ養生措置も施しやすく、近隣への配慮にも影響するため注意が必要です。

屋根補修における足場確保の重要性

屋根工事では急勾配や高所での作業が多いため、墜落リスクを回避するための足場は必須です。
資材の運搬や作業員の安全な移動経路を確保するため、足場の設計と設置が重要といえます。

地震や強風対策の補強も考慮し、確実な固定が求められます。

雨どい・軒先補修など高所作業時の足場設置ポイント

雨どいや軒先は建物の縁部分に位置しており、梯子での作業では不安定になりやすい場所です。
また、高さ2m以上は作業床が必要なため、はしご作業にも注意が必要です。

足場を設置することで、職人が両手を使って安全に作業でき、正確な施工が可能となります。

作業効率が向上するため、工期短縮にもつながります。安全面だけでなく、施工品質維持の面でも足場は重要です。

太陽光パネル・設備設置工事における足場設計の注意点

太陽光パネルやエコ設備の設置工事では、重量物の屋根上搬入や配線作業が発生します。

足場があることで、安全に機材を運び入れ、複数作業員での連携作業が可能です。

パネル角度や配置に影響を及ぼす誤差を防ぐためにも、安定した足場の確保が欠かせません。
電気工事士の法令作業基準に準拠した環境整備としても重要です。


リフォーム現場で採用される足場工法の種類と特徴

足場にはさまざまな工法があり、住宅の構造や立地条件に応じて最適な種類を選定することが重要です。
ここでは代表的な足場の工法と、それぞれの特性について解説します。

クサビ足場・単管足場の特徴と選定基準

低層住宅のリフォーム現場では、施工範囲や敷地条件に応じてクサビ足場と単管足場が使い分けられます。

単管足場は狭小地や複雑な形状に柔軟に対応できる反面、作業床の安定性に注意が必要です。

一方、クサビ式足場は部材を打ち込む方式で組立が早く、作業スペースも確保しやすいため、外壁や屋根の改修に適しています。

いずれも安全性を確保したうえで、作業効率やコスト、敷地の状況を基準に選定されます。

低層・木造住宅に適した足場構造と設置条件

低層・木造住宅のリフォームでは、建物の高さや構造に応じて、適切な足場を選定することが求められます。

多くの場合、クサビ足場が用いられ、組立・解体の作業が効率的に行える点が利点です。
作業スペースの確保もしやすく、外壁塗装や屋根の補修にも向いています。

一方で、敷地が狭小な現場や形状が複雑な建物では、単管足場が重宝され、柔軟に対応できる点や細かな調整が可能です。

クサビ足場でも、狭小地への設置に対応が可能。
現場条件に合わせた設計により、十分な安全性と作業効率が確保し柔軟に設置ができます。

設置条件としては、建物周囲に一定の作業スペースが確保できることや、安全性を保てる地盤状況であることが求められます。

狭小地など制限条件下での足場対応の工夫

都心部で多い、狭小地や変形敷地などの制限条件下では、足場の設置に特別な工夫が求められます。

クサビ足場や単管足場は、隣接建物との距離が近い場所でも対応しやすい点が特徴です。

設置時には、必要最小限のスペースを活用しつつ、安全性を確保するための補強や仮設資材の工夫が重要になります。

隣地への越境を避けるため、事前の現場調査や周辺との調整も欠かせません。
現場ごとの条件を見極めた上で、最適な足場設計を行うことが求められます。


元請けのハウスメーカーが確認すべき足場施工のチェックポイント

足場は現場の安全性と作業効率を左右する重要な設備です。
元請けのハウスメーカーの立場から、施工段階で確認すべきポイントを整理しておきましょう。

安全性に関するチェックポイント

  • 足場構造が労働安全衛生法と労働安全衛生規則に準拠しているか
  • 昇降設備(はしご・階段)が適正に設置されているか
  • 手すり・落下防止措置が徹底されているか
  • 風荷重・地震対策のための補強・緊結処理が適切か

足場構造が労働安全衛生法と労働安全衛生規則に準拠しているか

設置する足場は、労働安全衛生法と労働安全衛生規則に適合している必要があります。
地面への固定状況や部材強度、作業床の幅・高さなどの仕様確認が重要です。

足場からの墜落防止措置の強化

厚生労働省では足場に関する法定の墜落防止措置を定める労働安全衛生規則を
改正し、足場からの墜落防止措置を強化しました。令和5年10月1日(一部規
定は令和 6 年 4 月 1 日)から順次施行します。

労働安全衛生規則 令和5年10月1日から順次施行

昇降設備(はしご・階段)が適正に設置されているか

足場の安全性を確保するうえで、昇降設備の適正な設置は欠かせません。

はしごや階段は、作業員が安全かつスムーズに移動できるよう配置する必要があります。

はしごを使用する場合は、角度や固定方法に注意し、滑り止めや手すりの設置も推奨されます。

昇降動線が確保されていない足場は、墜落や転倒のリスクが高まるため、設置状況の事前確認が重要です。

手すり・落下防止措置が徹底されているか

足場作業においては、手すりや落下防止措置の徹底が労働災害を防ぐうえで非常に重要です。

作業床の外周の手すりの高さは85センチ以上の手すりを設置し、中さん(中間手すり)や幅木なども併せて取り付けることで、作業員の転落や資材の落下を防ぎます。

関連記事:平成 21 年 6 月 1 日から改正「労働安全衛生規則(足場等関係)」

低層住宅でも高所作業が発生するため、要求性能墜落制止用器具の使用やネットの設置なども現場状況に応じて必要となります。

安全対策は形だけでなく、確実な設置と点検が不可欠です。

風荷重・地震対策のための補強・緊結処理が適切か

足場は風荷重や地震といった外的要因にも耐えられるよう、補強・緊結処理を適切に行うことが必要です。

低層住宅では、確実な設置は難しいことも多いため、設置が困難な場合は、仮設計画の段階で足場倒壊防止対策を図ります。

風の強い地域や長期工事の場合は、養生シートのたわみや風圧にも注意し、必要に応じて補強を追加します。

施工前の構造計画と定期的な安全確認が、事故を未然に防止するため重要です。


住宅の構造や立地条件によって、アンカーと控えは施工できない場合があります。

その場合、足場の強度を考えた倒壊防止対策等は、下記の軽量足場を使用がおすすめです。

一般社団法人低層足場リース協会が、住宅の構造や立地条件による最適なご提案をさせていただきます。


作業効率を左右する足場設計のポイント

  • 材料搬入や職人の動線を考慮した配置になっているか
  • 複雑な屋根形状・下屋部への対応が図られているか
  • 作業中の無駄な移動・動線ロスがないか

材料搬入や職人の動線を考慮した配置になっているか

足場の配置は、作業効率と安全性の両面から、材料搬入や職人の動線を十分に考慮して計画することが重要です。

搬入経路が狭い場合は、資材の一時置き場やクレーンの使用位置も含めて設計する必要があります。

職人がスムーズに移動できるよう、階段や足場幅を確保し、無理のない導線を意識した構成が求められます。

動線が悪いと、作業効率の低下だけでなく、転倒や接触事故の原因にもなるため、事前の綿密な配置計画が不可欠です。

複雑な屋根形状・下屋部への対応が図られているか

複雑な屋根形状や下屋(げや)部分がある低層住宅では、足場の柔軟な設計が求められます。

屋根の勾配や段差、張り出し部分に対応するには、細かく寸法を調整できる単管足場が有効です。

下屋部分の足場設置では、高さ調整や干渉を避ける工夫が必要となり、安全な作業床の確保と転落防止策の徹底が重要です。

現場ごとの建物形状に合わせた事前調査と、綿密な足場計画により、作業効率と安全性を両立させることが可能になります。

作業中の無駄な移動・動線ロスがないか

職人の無駄な移動や動線ロスを減らす工夫が重要です。

資材や道具の配置を事前に計画し、効率的に作業できる動線を確保することで、現場全体の生産性が向上します。

作業フローを見直し、必要な場所に必要な物を整理整頓しておくことで、作業時間の短縮や安全性の向上。
無駄な動きを減らした現場運営は、工期の厳守と高品質な仕上がりに直結します。


近隣住民・施主への対応と配慮

  • 敷地境界をまたぐ足場設置時の説明・対策
  • 飛散・騒音対策のための養生措置の有無
  • 標識・警告表示による注意喚起の徹底

敷地境界をまたぐ足場設置時の説明・対策

低層住宅で足場が敷地境界を越える場合、事前説明と対策が不可欠です。

工事前には近隣住民に足場設置の必要性や期間、影響範囲を丁寧に伝え、了承を得ることが大切です。

安全対策として、幕や養生シートを設置し、敷地や植栽を傷つけない工夫を施します。

足場設置や撤去時にも周辺の清掃・点検を徹底し、トラブル防止に努めましょう。

飛散・騒音対策のための養生措置の有無

低層住宅の工事では、近隣への配慮として飛散や騒音を抑える養生措置が重要です。

足場には防音シートやメッシュシートを設置し、塗料やホコリの飛散を防ぎ、作業時間を調整するなど騒音対策にも努めています。

養生措置を行うことで、近隣住民への影響を最小限に抑えられ、施主様にも安心して工事を任せていただけます。

標識・警告表示による注意喚起の徹底

低層住宅の工事現場では、標識や警告表示を分かりやすい場所に設置し、通行人や近隣住民への注意喚起を徹底しています。

「足元注意」「工事中につき通行制限」などの案内表示を適切に配置することで、事故やトラブルの防止に努めます。

鮮やかなカラーや大きな文字を用い、視認性を確保する工夫も重要です。
こうした標識の徹底が、安全で安心できる現場づくりに直結します。


施工効率とコストを両立させる足場会社の選び方

信頼できる足場業者の選定は、工事全体の品質や進捗に大きく影響します。
ここでは、発注先選定時の注目ポイントを紹介します。

戸建て・リフォーム特化業者の強みと柔軟な対応力

低層住宅の戸建てやリフォームを専門に手がける業者は、地域ごとの環境や住まいの特性を把握した柔軟な対応が強みです。

お客様のご要望やライフスタイルに合わせて、最適な提案や細やかな施工プランを用意しています。

工事中の変更や追加のご相談にも迅速に対応できる体制を整えているため、安心してご依頼いただけます。

専門性と対応力を活かし、満足度の高い住まいづくりにつながります。

狭小地・下屋構造への施工実績と対応スキル

低層住宅において、狭小地や下屋のある住まいは施工が難しいケースも多く見られます。

戸建てやリフォーム特化業者であれば、こうした特殊な条件下での工事実績が豊富にあるでしょう。

資材搬入や作業スペースの確保、工事手順の工夫など、狭小地特有の課題にも柔軟に対応が可能です。

経験に基づく細やかな現場対応や、安全に配慮した施工スキルによって、高品質な仕上がりを実現します。

特殊構造への豊富な施工実績が、安心して任せられる理由です。

工期厳守・現場対応力・職人の安全意識の高さ

工期を守る姿勢と現場での柔軟な対応力が求められます。

施工管理を徹底し、スケジュール通りに進めることで施主様のご負担を軽減。
予期せぬトラブルや現場での調整にも、経験豊富な職人が迅速かつ柔軟に対応します。

安全教育の徹底と確認作業を怠らず、高い安全意識を持って作業に取り組むことにより、安心感のある住まいづくりが実現が可能です。


まとめ

住宅リフォームにおける足場工事は、安全性と効率性、近隣への配慮といった多くの要素が複合的に関係しています。

適切な足場を選定・設置することで、作業の質や工期の順守、安全対策が実現。

元請けのハウスメーカーが足場工事を外注する際は、工法選定の柔軟性や現場対応力、法令遵守の姿勢を重視し、信頼できる業者と連携することが成功のカギといえます。


一般社団法人 低層足場リース協会は、10m以下の低層住宅向け足場に特化した業界団体です。安全性・効率性の高い足場技術の普及を目的に、会員企業との連携を通じて品質基準の整備や情報発信、技術研修などをおこなっています

一般社団法人 低層足場リース協会